竹林を管理すること
森林や緑地は自然の産物を生み出す所で、人の生活には欠かせない資源であり、その中でも竹林は生活用品から工芸品など用途が広く、しかも食材にもなる特別な植物です。神奈川県内では主にモウソウダケやマダケなどが密集して群落をつくりますが、その多くは先人が資源利用を目的に植えたものです。
竹林管理は秋冬に枯れたり年数を経たタケを刈り、春にはタケノコを取ることで生長を抑え、良材を生み出し、管理が容易な竹林となります。
財団で実施するイベント:タケノコ掘りで竹林整備
竹林の問題と手入れ
最近、都市近郊の樹林地において竹林の管理が問題となっています。「放置竹林」や「竹害」といって、手入れ不足の竹藪が問題になる一方で、竹寺や竹庭など、管理が行き届いた竹林は整然とした美しく並ぶ景観や、森林浴ができる癒やしスポットになっています。これほどまでに価値の落差が大きい竹林環境ですが、管理という手入れ次第で大きく変わります。
では、なぜ竹林は人の手入れが必要なのでしょうか。これは人が利用を目的にタケを移植したことが要因の一つと考えられます。タケは地下茎を伸ばして稈(かん)を次々に地上へ伸ばして群落を作ります。野山や田畑が隣接し、こちらも半ば放置されていればタケが侵入し、勢力を拡大するほど強い生長力を持つ植物です。あわせて林内では季節が訪れるたびに新しい竹が伸びて密集し、枯れた竹は倒れも腐りもせずに折り重なり、人が簡単に入れないバリケードが築かれます。こうなると立派な筍や竹材は容易に採れなくなり、いよいよ手入れを諦めてしまうという状態になってしまいます。
もともと竹林はちょっとした手入れだけで次々と筍や竹材を生み出すため、里山における農林漁業や生活の重要な資材供給地として人々から大切に扱われた場所だったと思われます。健全な資材を生み、手入れも行き届いた竹林環境でこそ、青々としたタケが立ち並び、思わず見とれてしまう景観が形成されるのではないでしょうか。
竹工芸から学ぶ
竹材の用途は広く、伝統工芸としてザルやカゴなど日常生活で使われる用途を備えながら、歴史を重ね芸術にまで昇華した工芸品へと醸成しました。
県内の竹林環境の情報交換を行いつつ、竹細工の伝統工芸の技術を学び、竹工芸の魅力や竹林の価値向上、県内の荒れ放題である竹林管理の現状について考えていくきっかけを醸成します。
竹の特性や活用方法、本格的な竹細工について、重要無形文化財保持者の藤塚松星先生から学べます。
人間国宝 大磯町在住の藤塚松星さんに学ぶ
竹工芸作家の藤塚松星(しょうせい)さんが2023年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。機関誌ミドリで話を聞く機会をいただき、竹工芸の魅力や藤塚さん独自の伝統と革新の作品づくりについて伺いました。
機関誌ミドリ130号PDF抜粋「竹のこれからと竹工芸について学ぶ(前編)」 ミドリ130全頁の閲覧はこちら
機関誌ミドリ131号PDF抜粋「竹のこれからと竹工芸について学ぶ(後編)」 ミドリ131全頁の閲覧はこちら