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ナラ枯れの特徴

カシノナガキクイムシ

拡大する神奈川県内のナラ枯れ発生状況

「ナラ枯れ」によって、コナラやマテバシイなどドングリのなる木が突然、まとまって枯れる事態が起きています。神奈川県では2017年の夏ごろから徐々に出始め、被害が広がっています。

 

このナラ枯れ被害について全国的にみると、1990年代から日本海沿岸や近畿地方で広がり、徐々に西から東日本に向かって拡大していき、今現在、北海道を除く全国各地に広がっている状況です。

 

神奈川県に目を向けると、2017年では被害数が5市町だったものが、2021年で32市町村となり全域に拡大していることがわかります。被害本数も2017年239本だったものが、2021年には2万9千本と急増しています。都市近郊の緑地や公園、山々が続く山間部など様々な場所で広範囲に被害がみられます。

ナラ枯れはナラ菌と呼ばれる菌類に感染して枯れてしまうことで、カシノナガキクイムシという甲虫が菌の媒介者として伝染することがわかっています。

 

参考資料:神奈川県ホームページ「森林を保全する」  https://www.pref.kanagawa.jp/docs/pb5/cnt/f537128/index.html

 

ナラ枯れ樹木
右奥がナラ枯れにあった樹木。木くず(フラス)を出した状態/2020年10月撮影

小さな媒介者 カシノナガキクイムシ

カシノナガキクイムシ(以下、カシナガ)は体長4~5mmの小さな甲虫で、木製品に無数の小さな穴を開けるキクイ(木食い)ムシの一種です。

その中でもカシナガは生きた木を繁殖場所に選びます。集団で幹に穴を開けて木質内に卵を産み付け、翌春に羽化し、枯れた木からいっせいに飛散し、また生きた木へと繁殖場所を求めます。

 

カシナガは、日本を含む東南アジアに広く分布しており、木を食べるのではなく、食料になる菌を巣に持ち込むため、「養菌性キクイムシ」といわれます。雌の前胸背(背側)に貯蔵庫を持ち、酵母菌やナラ菌を運搬することがわかっています。

カシナガが繁殖場所に選ぶのは、主に大径木の枯れやすい高木です。その昔は薪や炭などの燃料目的で植えられた木が、そのまま手入れされずに放置され大径木化した樹種がナラ枯れ被害にあってしまいます。

 

カシナガ
体長5mm程度の成虫。矢印の背に点々に菌貯蔵袋を持つ。

ナラ枯れ対策について

都市近郊の樹林地での対応一例

 

当財団では夏から秋にかけて被害調査を行い、11月から冬の間にかけて伐採を行います。丸太を40㎝間隔でたんころに切りそろえ、薪割機などで直径20㎝程度に細かく割り、緑地内で乾燥を促すように積み重ねます。この間、虫駆除のため林内から持ち出さないように注意します。

次の秋を経て十分な乾燥により薪に使用できるようになると、「マキ寄附」として寄付者への返礼品として提供します。この他、細い枝幹もシイタケの原木として活用できます。

 

ナラ枯れ処理図

マキ寄附の活動について

「ナラ枯れ」によって枯れた樹木の処理方法として薪型に細断します。冬の寒さと乾燥で殺虫効果を与えます。処理された薪はトラスト財団の支援者へ寄附返礼品として2020年冬期より提供しています。

詳しくはコチラ

https://ktm.or.jp/national/trust/naragaremaki/

 

 

薪ストーブイメージ

オンライン・セミナー「ナラ枯れ対策と森林・緑地の管理」

2023年3月にナラ枯れ対策と森林・緑地の管理セミナーと題してオンライン・ライブ配信を行いました。講師には機関誌ミドリ121号にも執筆いただいた病理学が専門の黒田慶子先生をお招きし、財団事業の取り組みも事例として紹介しました。

(財団発行:機関誌ミドリNo.121号(2021年6月)記事より)

機関誌ミドリ121号PDFデータ(13MB):https://ktm.or.jp/cms/wp-content/uploads/2021/11/m121.pdf

 

 

チップ用間伐材
丸太のまま乾燥させ、チップ化を待つ間伐材
チップ用間伐材
丸太のまま乾燥させ、チップ化を待つ間伐材
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