ここからスタートした成長の森「やどりき水源林」
成長の森は平成19年度から24年度まで、やどりき水源林で実施していました。現在は、3月~ 11月の毎週土日に神奈川県森林インストラクターによる水源林ガイド「森の案内人」があり、月に1度「成長の森コース」を設けてガイドを行っています。これは過去に成長の森に参加いただいた方を中心に成長の森の今の姿を伝える内容となっています。
また「森の案内人」では日によってテーマを変えて「散策&癒し体験」や「丸太切り・クラフト体験」、夏には「水の中の生き物観察」等の案内(無料)をしています。(詳しいテーマや日程については「やどりき水源林森の案内人」で検索&確認してください)。
昨年12月、このコースに平成24年度成長の森の参加である二見遥佳さんご家族5名(祖父母、両親、本人)が参加されたので、ご家族を代表して祖母の北島あけみさん(左から二人目)に感想を伺いました。
以前、自分たちだけで来た時は、看板などを見落とし到着できず断念しましたが、今回はインストラクターの方が一緒だったのでスムーズに安心して辿り着けて良かったです。往復2時間弱くらいで時間も丁度良く、歩きやすい道で、転ぶなどのトラブルなく無事に見学できました。案内人の方も感じの良い方で、木や山、川など色々な話を聞かせてくれました。
印象に残っているのはムササビの巣をはじめて見たこと。他にもサンショウの木の下に行くだけで実に触らなくても香りがしたのには驚きました。また、やどりきに流れている源流が家の近くを通り、やがて横浜や東京の飲料水になっていることを知って感慨深かったです。
孫は散策中も楽しそうにしていましたが、銘板に到着し、そこに自分の名前と生年月日が書かれていたのを見つけた時には嬉しそうにしていました。 (平成24年度の)成長の森は約10年で木が大きく伸びていて、いかにも若木という感じがしました。
本人には「あなたが生まれた時に記念に木を植えたのよ」と話はしていたのですが、当時見学会に参加できず、それがずっと気にかかっていました。(孫が)小学校のうちには見に行きたいと思っていたので、今回親子3代
で来ることが出来て嬉しかったです。樹種の中に桜があって、今度はみんなで桜の季節に見に来たいと話をしました。
新緑のやどりき水源林へ行ってみよう!
やどりき水源林の魅力について神奈川県森林インストラクターで森の案内人事業を手がけられている水口俊則さんにお話を伺いました。
やどりき水源林は小田急線新松田駅からバスだと終点の寄(やどりき)バス停で下車し、散策がてら歩いて40分で辿り着きます。まず到着すると目につくのが赤色の寄大橋です。不思議と森の緑にとけこみ、水源林のシンボルにもなっています。
中央には寄沢(やどりきさわ)の清流と落差17mもある「滝郷の滝」もあります。夏には涼しく、マイナスイオンを浴びられる最高の場所です。また、寄沢の清流は県民の飲み水になっており、沢の両サイドを挟むように渓畔林※が形成され、自然豊かな森となっています。
そんな、水源林内には海底火山であった証拠の「枕状溶岩」や大正年代に植樹された樹齢約110年の杉林、登山気分が味わえるアップダウンのある散策コースもあり、何度来ても毎回違う発見があります。
この春の見どころとしては、新緑の美しさの中に、清楚な白花を咲かせるウツギの仲間や、ウラシマソウ、ジャケツイバラ、フジ、オニグルミなどの植物、そしてカカガエル、小鳥たちのさえずりなどが心を癒してくれます。沢あり、滝ありの豊かな水源林の森へぜひお越しください。
※渓畔林…一般的に河川上流の狭い谷底や隣接する谷壁斜面に成立する森林群のこと

寄大橋

ヒメウツギ

オニグルミ

カジカガエル
「 県立21世紀の森」にひきつがれている成長の森
県立21世紀の森は神奈川県が昭和55年に整備をはじめ、平成2年にオープンした施設です。平成25年度から成長の森エリアを設け、毎年3月に参加者から希望者を募り、植樹会を実施しています。
県立21世紀の森はどんな場所でどんなことが出来るのか、スタッフの野村巨美さんにお話を伺いました。
県立21世紀の森は緑豊かな森林の中で、みなさんに森林や林業について親しんでいただくための施設です。自然の森の中で自由な散策と森林浴が楽しめます。展示室や研修室のある「森林館」、木工体験のできる「木材工芸センター」をはじめ、研修ホールのある「森林ふれあいセンター」、森林学習や研修等に使用する各種展示林があり、散策路も整備されていますので、手軽に森林・林業について親しんでいただけます。
5月に入ると新緑の淡い黄緑が心をなごませてくれます。そこから新緑の緑が濃くなり茶色の幹のコントラストがとても映えるようになってくると、より散策が楽しくなります。木々も野草も花をつけ、図鑑片手に散策すればお好きな方は丸一日楽しめると思いますよ。
5〜6月に21 世紀の森に咲いた花を一部紹介
5〜6月に見られる野鳥
県立21世紀の森では1年を通してさまざまな野鳥が観察できるのが魅力の一つかと思います。主に午前中早い時間、上部に向かって内山林道沿い、森林館周辺で多く見られます。年間を通して、イカル、エナガ、カケス、ガビチョウ、
キジバト、コゲラ、シジュウカラ、ヒヨドリ、ホオジロ、メジロ、ヤマガラなどが観察されます。双眼鏡を持って小鳥のさえずりに耳を澄ませ可愛い野鳥の姿を探すのはいかがでしょうか。
県立21世紀の森では年間を通して自然観察会や木工体験なども企画しています。秋には森まつりを実施していますので是非遊びにいらしてください。(詳しくはHPをご確認ください。)
学習や研修に活用される「成長の森」
県立21世紀の森にひきつがれている成長の森は、学校の林業体験学習のフィールドや神奈川県森林インストラクター※を養成する実習、神奈川県の「森林再生パートナー制度」に参加する企業の森林活動の場としても活用されています。林道から近く、管理がしやすい立地のため林業の発展や普及啓発、花粉症対策を目的に神奈川県産無花粉スギ・無花粉ヒノキを植樹しています。(詳しくは神奈川県HP「未来につなぐ森づくりーかながわ森林再生50年構想についてー」をご確認ください)
令和5年早春には藤沢市立辻堂小学校の小学5年生が平成26年度成長の森エリアの枝打ち※体験活動をしました。 神奈川県森林インストラクターが講師を務め、枝打ちをする理由と方法、安全な道具の使い方や、森林の機能と人々の暮らしとの繋がりについて話があり、後日、先生からは「子どもたちは林業の大変さを実感しつつも楽しく取り組むことが出来ました」と感想をいただきました。
当日、初めてノコギリを触るという児童もいて、腕をいっぱいに広げながら「俺、こーんな木(枝)切った!」と友達同士で自慢しあう姿が微笑ましかったです。
※神奈川県森林インストラクター…神奈川県知事が認定する森林インストラクター。2年間全30回の講座を受け、森林・林業・緑地に関する技術や知識を学ぶ養成講座を経て認定される。※枝打ち…枝を付け根から切り落とす作業。無節の材の生産や林内採光などを目的に行う。

小学校の枝打ち体験活動

第18期神奈川県森林インストラクター養成講座
/枝打ちの基礎と指導方法の実習
植樹によって育まれる「成長の森」
成長の森は、“いつまでも愛着を持っていただけるような森を育てていきたい”という思いのもと、お子様と苗木の成長を重ね合わせ、森づくりの大切さを知っていただくための活動です。お子様の誕生や七五三、入学、卒業などの記念にご参加いただいています。
ご参加(苗木のご寄付)の方の名前を銘板に刻み、将来的に森を育てていくため苗木を植樹します。現在は県立21世紀の森(南足柄市内山)に区画を設け、苗木のご寄付をいただいた方の中から希望者を募り植樹
会を実施しています。
17年で通算7574名(令和6年3月末現在)の方に参加をいただき、17390本の苗木を植樹し(総区域面積約14ha、総植栽面積約3.5ha)成長の森として整備しています。
「 成長の森」に参加しませんか
様々な方のお祝いの場面に立ち会えることは幸せなことです。昨年度、植樹会参加の方に「なんの記念ですか」とお伺いすると、「お姉ちゃんの1/2成人式と弟の入学祝いです」と教えていただきました。
たくさんの「おめでとう」と、生まれてくれて、大きくなってくれて「ありがとう」の詰まった成長の森。そんな活動を続けていけるように、これからも応援お願いいたします。
( 財団 南橋)