昨年2月、こども自然公園の雑木林の中を通る細い道を登っていると、落ち葉をガサガサする音が聞こえてきました。「あ、ガビチョウだよ、目の周りが白いもん」「ねえ、どんぐりくわえている!」と娘が言います。5歳の娘は目が良くて、いつの間にかわたしより早く鳥を見つけることも出てきました。ガビチョウは外来種ですがこの辺りでは季節を問わず最も身近に見られる鳥のひとつになっています。
どんぐりをくわえた姿をスケッチしようと道端に座り込み観察していると、ガビチョウは落ち葉の中からコナラのどんぐりを探し出し、くちばしでくわえては薮の中に消えていくのを繰り返していました。双眼鏡でそっとのぞいてみると薮の中に切り株があり、その上でガビチョウがどんぐりを割っていました。はっきりとは見えなかったのですが、どうやら切り株にどんぐりを固定し、くちばしをハンマーがわりに上から下へと振り下ろ
しているようです。
後からそっとどんぐり割り台を覗かせてもらいました。横に生えているトウネズミモチが茂って目隠しされたエゴノキの切り株でした。窪んだところに割られて砕けたどんぐりの鬼皮がたくさん挟まっています。餌が少なくなってきた真冬、こうして苦労してどんぐりを割って生きているようです。
プロフィール
東郷 なりさ(とうごうなりさ)
絵本作家、イラストレーター。ブログに「クイナ通りSoi17」https://narisatogo.blogspot.com/