
(機関誌ミドリ131号2023)
虫とりの日常「セセリチョウがとびはじめて秋がはじまります」
今年は暑い日が長かった。
はやく涼しくならないかなぁ、と思っていたが、そうなると虫も少なくなるのでさみしさもある。
春、すこしずつ虫が増えてくる時にわくわくしたのとは正反対で、元気だった虫たちがだんだん減っていく秋は切ない。
とはいえ夜の虫の声はやはりいいもので、虫の声が勢いを増すにつれて夜も長くなっていく。
虫の声を聞いていると、登場人物の沈黙をひきたてるように虫の声を描いた杉浦日向子さんの漫画を思い出す。
屋外の虫採りから遠のく頃、世界でも最大規模の昆虫の標本市が東京で開催される。
世界中の虫の標本が集まるから楽しくないわけがない。屋内の虫採りというわけだが、この虫採り、採るたびにいちいちお金がかかるのがたまにきずで、見えているのにつかまえられないことも多々ある。
虫が苦手な友人を標本市に連れて行ったところ、あっという間に虫の素晴らしさに気づき、熱心に標本を選んで買っていた
虫に興味はあるけれど、苦手意識もある方には標本市をおすすめしたい。
プロフィール
横山 寛多
絵本作家、イラストレーター
連載(2023)
虫とりの日常①「春だ」
虫とりの日常②「起きたら春がいい」
虫とりの日常③「夏といえば虫とりですね」
虫とりの日常④「セセリチョウがとびはじめて秋がはじまります」
虫とりの日常⑤「冬来たりなば春とおからじ、ですね!」