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連載 虫とりの日常① 「春だ」

 

虫とりの日常

 

(機関誌ミドリ128号2023)

虫とりの日常「春だ」

 

 仕事柄、普段はひきこもりのような生活をしているけれど、春になって虫がでてくると、僕も家からでて虫採りへ行く。

 緑が濃くなるにつれ見つかる虫の数もふえていく。毎年会える虫もいれば、数年ぶりに会う虫もいるし、はじめて会う虫もいる。図鑑でしか見たことがなかった虫に会えた時の喜びは、いくつになってもかわらない。
 夏休みにはいると近所の子どもたちが家に遊びに来る。虫採りに行こうよ、とさそわれることもある。断る理由もないので一緒に虫採りへ行く。ただ僕の方が虫採りに集中してしまい、子ども達に急かされることも多い。

 普通に歩いたらさっさと通り過ぎてしまうところを小さな虫を探しながら歩くのだから、当然時間がかかる。養老先生は「虫採りは時速100メートルの旅と言われています」とおっしゃっていた。

 なんて素敵な旅だろう。

 小さな虫から顔をあげ、先を行く子どもたちを追いかける。いい風が吹いている。

 

プロフィール

横山 寛多
絵本作家、イラストレーター

 

連載(2023)

虫とりの日常①「春だ」

虫とりの日常②「起きたら春がいい」

虫とりの日常③「夏といえば虫とりですね」

虫とりの日常④「セセリチョウがとびはじめて秋がはじまります」

虫とりの日常⑤「冬来たりなば春とおからじ、ですね!」

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