湘南ゴールドの発祥の地を訪ねる

「幸せを呼ぶ新感覚オレンジ　湘南ゴールド！」

　晴れ渡る3月下旬、根府川駅に降り立つと、青い空と海が眩しく感じられました。鉄道ファンとして知られるタレントのタモリさんがJRの駅の中から1番に選んだ駅としても有名な無人駅です。
　駅から神奈川県農業技術センター足柄地区事務所まで向かう途中の階段や坂がきつく、「通勤されている方はさぞ足腰が鍛えられているだろう。」など参加者の方と話しながら歩きました。到着後、さっそく農業技術センター研究課の主任研究員、簑島さまより「湘南ゴールド」についてお話しを伺いました。
　湘南ゴールドは、鹿児島県で有名な「黄金柑（ゴールドオレンジ）」を母親に、みかんの品種「今村温州」を父親にした掛け合わせで誕生。1988年の交配から15年もの歳月を経て、2003年登録許可が下りた品種です。
　「黄金柑」は風味が良く、甘くておいしいオレンジで、伊豆半島沿岸の直売所でしか買えない「知る人ぞ知る！一度食べれば病みつきになる果物」だったそうです。しかし、難点は、見た目が美味しそうに見えず、また、皮がむきにくいことでした。そこで「黄金柑」のおいしさをそのままに、難点を改良した神奈川のオリジナル「湘南ゴールド」が生まれました。
　湘南ゴールドはヘタの部分から皮をむくとむきやすく、冷蔵庫で30分冷やすと美味しいそうです。また、皮をむいた時の香りも楽しんでください、とのこと。
　神奈川県県西地域は比較的温暖で柑橘類の栽培に適していますが、傾斜地が多いことや生産者の高齢化・後継者不足等課題を抱えています。簑島さんのいる研究課では、地域の課題解決のため、様々な試験研究を行っているとのことでした。

春の兆しを感じながら、山からの眺望を楽しむ

　次に小田原ガイド協会さんの案内で根府川の地を巡りました。神奈川県無形民俗文化財に指定されている鹿島踊りで有名な寺山神社、大正12年の関東大震災で鉄橋が崩れ、津波により土砂で埋まった釈迦堂を掘り起こしたところ、まったくの無傷で現れた岩盤の釈迦像を祀る白糸川釈迦堂。埋もれたために、建立当初は仰ぎ見たお釈迦様を階段を下りて参拝しました。
　次の根府川関所跡までの間にオカメ桜を楽しみながら、湘南ゴールド狩りを行うオーランジェ・ガルデンに向かいます。小田原ガイド協会のみなさんは植物好きの私たちのために秋に咲く「ヒマラヤザクラ」も紹介してくれました。坂の途中で「こんなに歩くとは思わなかったけれど、本当に眺めがいい。」、「春の日差しが本当に暖かく感じられるのは、景色のお陰かも？」というお言葉をいただきました。
　オーランジェ・ガルデンでは「今年は豊作です！甘い湘南ゴールドをお楽しみください」と言われ、簑島さんからのアドバイスを参考に、湘南ゴールドに舌鼓を打った後、それぞれ帰途につきました。

〈主任研究員簑島さんの話を熱心に聞き入る参加者たち。〉

〈寺山神社には小田原市指定重要文化財小田原根府川の道祖神が祀られています。〉

〈神奈川の橋100選に選ばれた白糸川鉄橋。〉

〈釈迦堂へ向かう途中の風景。〉

〈イギリスでカンヒガンザクラとマメザクラが交配され、逆輸入されたオカメザクラ。根府川では毎年オカメザクラ祭りが開催されます。〉

〈神奈川のオリジナル柑橘「湘南ゴールド」。さわやかなレモン色です。指３本分くらいの大きさの果実が美味しいとか！？〉