【理事長のつぶやき】地域振興の切り札
地域振興の切り札
令和6年(2024年)4月にとてもショッキングな報告が民間の有識者会議である「人口戦略会議」からありました。
全国には現在1700強の自治体があります。人口戦略会議が発表したのはその4割が2050年には消滅する可能性があるというものでした。神奈川県からも三浦市、真鶴町、湯河原町が含まれていました。このことはそれぞれの自治体で真剣に議論して、答えを見いだす必要があるように思います。
そうした中、今、全国でバスケットボールを一つのツールとした地域振興が進み、自治体も協力し、ブームになっています。

その代表は2023年ワールドカップの開催地となった沖縄です。沖縄は戦後米軍が占領していたこともあり、那覇市内の公園にはバスケットコートが必ずあり、子どもの頃からバスケットに親しんでいることも影響している事と思います。そのほか九州の長崎、佐賀、関東で群馬、栃木、茨城などが新たなアリーナをつくり、続いています。
2021年東京オリンピックでの女子チームの銀メダル獲得、2024年パリオリンピックへの男子チームの自力での出場といったバスケットの明るい話題も多くなっています。1994年の広島大会以来32年ぶりに日本で行われた、2026年アジア大会(愛知・名古屋)で、バスケットボール日本代表チームは男女共に銀メダルを獲得しています。
日本のプロバスケットの中心にBリーグがあります。2016年にスタートし、現在まで36チームが参加し、東西18チームに分けて競ってきました。
Bリーグは2026年からリーグ構造などを再編し、最上位はBプレミアとして26チームで構成することになり、9月からスタートいたしました。
その考え方の基本は参加するには成績だけでなく、バスケットボールのマネジメント能力を重視し、観客数平均4000名を超えることやアリーナ運営権を条件としています。
これは、バスケットボールチームを運営する会社にとっても大きな負担になりますが、自治体も協力してなんとか地域を盛り上げようと考えたものです。そこで、地域振興策ともリンクして、町おこしも兼ねたスポーツとして全国で普及していく構想です。
Bリーグは世界に通じるバスケットをということで、アメリカのNBAに次ぐ世界第2位のリーグをめざすという高い目標を掲げています。こうした競技団体と自治体が協力して、地域振興を行うことは自治体が生き残る一つの戦略でもあります。
神奈川県でも川崎ブレイブサンダースと横浜ビー・コルセアーズという二つのチームがBリーグのトップカテゴリーに挑んでいます。今はアメリカに行ってNBA選手として活躍している河村勇樹選手が横浜ビー・コルセアーズにいた時はチケットの入手ができないほど人気がありました。

そのほかにも、県内には二つのプロバスケットボールチームがあり、2部相当の「Bワン」に参入する「横浜エクセレンス」と3部相当の「Bネクスト」に挑む「ウォルガ湘南」です。ウォルガ湘南は藤沢市、茅ヶ崎市、厚木市、寒川町の3市1町を活動拠点としています。新Bリーグはより地域に密着したバスケ文化の醸成を図ることとしていますが、地域が疲弊して厳しい時こそ、市民や県民の皆さんと共に力を合わせ、スポーツを通して魅力的な街づくりを進めることが求められます。大いに期待しています。
こうした地域振興のための日本の中での動きは、かながわのナショナル・トラスト運動を進める財団に取りましても、時代の変化を踏まえ、色々と施策を考える上で、良い刺激になるものです。
物事の新たな発想をしていくための、参考にしたいと思っています。
令和8年10月22日
かながわトラストみどり財団理事長 引地 孝一