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花水川で食べられる植物の観察会

5 花水川

「花水川で食べられる植物の観察会」の詳細

日時2021年05月28日(金)
9:00~12:30
場所

集 合 JR平塚駅東口改札前 9:00

行 程 平塚駅東口改札前集合~バス~「古花水」→花水川左岸→桜ヶ丘公園→高麗大橋→花水川右岸→高久神社→「古花水」~バス~平塚駅

自然観察会

※当日はマスクの着用と検温の報告をお願いします。なお、新型コロナウィルス感染症拡大防止対策により、急な中止・行程変更がありますことをご承知おきください。

▼集 合JR平塚駅東口改札前 9:00
▼解 散平塚駅 12:30
▼行 程平塚駅東口改札前集合~バス~「古花水」→花水川左岸→桜ヶ丘公園→高麗大橋→花水川右岸→高久神社→「古花水」~バス~平塚駅
▼講 師NPO法人全国森林インストラクター神奈川会
▼定 員15人(抽選)
▼参加費会員 無料
一般2,000円
学生1,000円
※現地までの交通費及び行程途中のバス代は各自負担です。
▼雨天時原則として小雨天実施です。コース等の変更をする場合があります。当財団ツイッターでも、開催状況をお知らせしています。
財団公式ツイッター
▼持ち物等歩きやすい靴、帽子、水筒、筆記用具、雨具、採取袋
▼申込方法【申込受付】終了しました。
①参加希望日と行事名
②代表者氏名・住所・電話番号
③会員の方は会員番号
④メール申し込みのかたはメールアドレス
⑤同伴者氏名・住所・電話番号・会員の方は会員番号
①~⑤ご記入のうえ、メール/FAX/はがき/イベントフォームにてお申し込みください。
〒220-0073
横浜市西区岡野2-12-20
(公財)かながわトラストみどり財団
みどり企画課
※FAX:045-412-2300
※メール:midori@ktm.or.jp
▼問合せ先(公財)かながわトラストみどり財団
※電話:045-412-2525
▼概 要身近な場所にある食べられる野草の見分け方と食べ方をご紹介。一味違った観察会。

「自然観察会 花水川で食べられる植物の観察会」活動報告書

昨日の大雨が嘘のような晴天に足取りも軽く、花水川へ向かいました。最寄りバス停「古花水」で下車すると、「平塚宿京方見附」の案内板。この辺りは東海道五十三次の宿場として栄えた平塚宿の西入口である京方見附があったと思われる場所。空襲や区画整理などで正確な地はわかりませんが、初代歌川広重が描いた風景画にある高麗山と花水川は今も昔も変わりません。花水川の名前の由来は諸説ありますが、鎌倉時代に桜の名所であった高麗山に源頼朝が山桜を見物に来たものの、前夜の春の嵐で散ってしまい、「花を見ず帰った」ことから「花みず川」になったと言われています。
今回は「花水川で食べられる植物の観察会」。まず、「食べる食べないは自己責任」であることと、この辺りは犬の散歩道でもあることを念頭においてください、とのこと。
また、神奈川県のHPには、有毒植物(スイセン、スズラン、ハシリドコロ等)を誤って食べてしまい、食中毒になる事例もありますので、ご自分で採取される際は、十分に注意をしてください(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/e8z/cnt/f6576/p798289.html)。
とはいえ、季節のご馳走をいただくのは生活の楽しみ。食するのに向いているのは春先の新芽とのこと。また、山野草は基本的には「あえ物・煮物・天ぷら」にするとよいそうです。
早速、ヘラオオバコを見つけましたが、これは主に飼料。少し進むとヨモギがありました。もともとハハコグサを餅にいれていたところ、「母と子を餅に入れて付くとはいかがなものか」ということからヨモギが代用され、ヨモギ餅が生まれた、とのこと。次にイタドリを発見。イタドリは春の新芽を使い、茎の硬い皮を剥ぎます。熱湯に通し、数時間冷水に付けアク抜きをします。イタドリの強い酸味はシュウ酸によるもの。シュウ酸を取り過ぎるとお腹が下りやすく、結石の原因にもなります。イタドリに味はないので、コリコリとした触感を楽しむなら、茹ですぎは禁物(70~80℃のお湯に40秒ほど通す)。塩漬けの他、お茶やジャムにもできます。
次に、スイバ(スカンポ)とギシギシ。よく似ていますが、見分け方としては、スイバは茎を葉が抱いている、ギシギシは葉に柄があり、茎は抱かない。共にタデ科の植物で、春先の若芽を摘み、塩を少々加えた熱湯でゆで、水にさらしアク抜きをします。味噌・酢・みりんであえておひたし、あえ物に。スイバはスープやジャム、お茶としても食せます。
シロツメクサやアカツメクサ。シロツメクサは詰め物(緩衝材)として利用されていたことが名前の由来。マメ科の植物で、食べられるとのこと。
ここで、インストラクターからクイズが。「木へんに春と書いて、椿(ツバキ)。木へんに夏と書いて、榎(エノキ)。木へんに冬と書いて、柊(ヒイラギ)。では、木へんに秋と書いて、何?」答えは「楸(ヒサギ)」。キササゲやアカメガシワのことを指したようです。名前の由来にもなった新芽が赤い(アカメ)のはアントシアニンが太陽の紫外線から新芽を守っているから、とのこと。アントシアニンは抗酸化作用がある他、目の老化を防ぐ機能もあります。また、ヤナギの木は樹皮から抽出した成分からアスピリンにつながったと言われており、古来鎮痛剤として利用されてきたようです。改めて、人間は植物が作り出す物質に恩恵を受けていることを実感しました。
桜ケ丘公園ではヤマモモやドクダミ、タンポポなど食べられる植物がありました。ドクダミはセンブリやゲンノショウコ等、日本古来の民間薬。主に解毒や便秘薬、皮膚疾患薬として使われていました。咲き始めの花だけを使うと本来の効能がUP。葉っぱも一緒にお茶や化粧水にしてもよいそうですが、若い葉を使うのが良いそうです。
タンポポは根を煎じたものを、「タンポポコーヒー」として戦時中コーヒーの代用にしていましたが、正確にはコーヒーではなく、お茶とのこと。ニホンタンポポ、セイヨウタンポポどちらのタンポポでも根を掘り出し、乾燥させ、小さく刻んでフライパンで煎り、お茶にします。胃腸に良く、漢方薬にも利用されているそうです。成分は小松菜に似ているとか。咲き始めの花や葉っぱもお茶にできます。セイヨウタンポポの若い葉は生でサラダに加えると苦みがアクセントに。茎も一緒にお浸しや天ぷらにしても良いそうです。
たまにタンポポとブタナ間違える人もいるそうですが、ブタナは「タンポポモドキ」という別名を持っています。フランス語の「salade de porc(ブタのサラダ)」が語源の由来で、フランスではブタが好んで食べるのでこの名が付いたそうです。
タンポポの咲く季節はツクシやスギナも地面から顔を出しますが、ツクシ(胞子茎)は袴を取って茹でてアクを抜き、煮たり、炒めたり、佃煮に。ツクシは昔から料理されていますが、チアミナーゼ、アルカロイド、無機ケイ素を含むため、多量の摂取は避けること。また、心臓、腎臓の疾病がある人、またニコチンに対する過敏症の人の摂取は禁忌とされているそうです。
スギナは全草(栄養茎)を乾燥させたものを生薬名で問荊(もんけい)といい、利尿作用があるそうです。
その他、クコやヤマグワ、オニグルミ、ハマダイコン、西洋カラシナと花水川には食べられる植物が沢山あり、インストラクターがその一つ一つを教えてくれます。実際に調理した写真を見せてくれ、味等についてお話いただくと、クコを乾物に、ヤマグワをお茶やジャムに、またオニグルミをクルミ味噌やクルミバター等にしてみたい、と思いました。
花水川を後にし、近くにある高来(たかく)神社へ。「高来神社(高麗寺⦅こうらいじ⦆)略縁起」によると、古代から神宿る山として信仰されていた高麗山に、神功皇后が新皇産霊尊(かみむすびのみこと)を勧請し、高麗権現社とした。668年、高句麗滅亡によって高句麗から大磯の高麗(こま)に来た王族若光はこの地に大陸文化を伝え、発展させていたが、大磯より武蔵野国高麗郡(現在の埼玉県日高市)に移され、かの地の開発を命じられる。
717年、大磯御舟祭りの由来となった千手観音を祀るために、行基が高麗寺を建立(『新編相模風土記稿』より)。※この時代は神仏習合であった。
江戸時代、徳川家康が高麗寺に寺領百石と山林を御朱印地として与えた後、東照権現が勧請され、上野寛永寺の末寺となり、樹木の伐採を禁じられた。また、参勤交代でこの地の寺領を通る諸大名は「下に」とは言わず、下馬して参詣した。
明治元年に神仏分離令により、高麗寺は廃され、高麗寺は「高麗神社」とよばれたが、明治30年に高来神社に名称変更。
現在、高来神社二の鳥居横に「慶覚院」があり、寺の紋章は「三つ葉の葵」である。
ちなみに、高来神社と埼玉県日高市の高麗(こま)神社は、どちらも出世神社として有名で、今も参拝者が後を絶たないとか。

さて、高来神社には町の天然記念物である「シイニッケイ」があります。こちらはスダジイとヤブニッケイの合体木。スダジイが推定樹齢300年、ヤブニッケイが推定樹齢150年の古木。違和感のない一本化にて、インストラクターの説明でようやく形状が分かりました。
また、高来神社は源頼朝が妻政子の安産祈願をした神社。伊豆流刑になる身となった頼朝と政子は再び会えることを祈り、伊豆山のご神木、ナギの葉をお守りにしたことは有名な話ですが、こちらの高来神社にもナギの木がありました。
高麗山はかつて寺領であったため、今も南側には江戸時代からの照葉樹林が残っています。
花水川を廻り、食べられる植物を教えてもらい、大磯町の歴史も学べた非常に有意義な観察会でした。

〈初代広重の絵にも描かれた高麗山をバックにした東海道と花水川。今回は花水川で食べられる植物の観察会を行う。〉

〈イタドリ(タデ科):春先の新芽を利用。取った新芽は、茎の堅い皮を剥く。イタドリの強い酸味はシュウ酸によるもの。シュウ酸の取り過ぎは結石の原因にもなりやすいので、70~80℃のお湯に40秒くらい通し、数時間冷水につけてアク抜きを行う。きんぴら、ジャム、お茶などに。妊娠中、授乳中の使用は避ける。〉

〈ギシギシ(タデ科):同じタデ科のスイバ(別名スカンポ)とよく似ているが、スイバは中部にある葉が茎を抱く。ギシギシには葉に柄があり、茎を抱かない。春先の若芽を摘み、塩を少し入れた熱湯で茹で、水にさらしてアク抜きをする。味噌、酢、みりんでおひたし、あえ物に。〉

〈ヨモギ(キク科):春先の柔らかい芽を使用。密生した毛が粘りを出すので、餅の繋ぎとして若芽を摘んで草餅や草団子にする。葉を水洗いし、水分をふき取り天日乾燥させ、煮出し、または小さく刻みフライパンで乾煎りし、お茶として飲用。〉

〈オニグルミ(クルミ科):実(み)は数時間水につけてからフライパンで乾煎りし、殻の間に隙間が空いたら火からおろす。クルミの尖端を下にして、コンクリートなどの堅いものの上に置き、ハンマーで叩く。または、隙間にマイナスドライバーなどをはめ込み、捻りこじ開ける。すり鉢に実を入れ、砂糖と味噌を加えてクルミ味噌に。〉

〈ノビル(ヒガンバナ科):肥大した鱗茎を掘り採り、洗って味噌をつけて食べる。茹でて一口サイズに切り、酢味噌をかけてヌタにする。写真はノビルのむかご。スイセン、タマスダレ等の有毒植物と間違われた事例もあり、食す際は要注意。

〈セイヨウカラシナ(アブラナ科):春先の河原に咲く菜の花に似たセイヨウカラシナ。若い葉はさっとゆでてお浸しに。写真のような状態になったら、殻から種子を取り出し、ごみを取り除き、熱湯消毒した瓶に詰め、お酢をひたひたに注ぐ。3~4日、お酢を継ぎ足し、お酢を吸わなくなったものに塩・砂糖を加えすり潰すと、粒マスタードに。野生化したものはブラウンマスタードが多い。〉

〈ハマダイコン(アブラナ科):若い葉、花芽は生でサラダに加えると、ほのかな辛味がアクセントになる。若い茎や葉はさっと茹でてお浸しになる。若い実は生のまま齧ると大根と同じ辛味があり、そのままサラダに加えたり、細かく刻んで素麵やソバの薬味にしても良い。〉

〈シイニッケイ: 町の天然記念物に指定されているシイニッケイはスダジイとヤブニッケイの二種が一体化した樹木。頂上部が凹状になったスダジイの古木にヤブニッケイが根付き、生長した結果、現在のような樹形になった模様。合体木の違和感のない一本化は全国でも珍しく、貴重ものである。〉

〈ナギの木(マキ科):熊野神社のご神木でもある「ナギの木」。「凪」とかけて、「航海・交通安全の木」。または、葉っぱを引っ張ってもちぎれないことから「縁が切れない」=「良縁の木」と言われる。弁慶もちぎれなかったので別名に「弁慶泣かせ」と。広葉樹のような葉であるが、じつは針葉樹。主脈を持たず、葉脈は平行に伸びている。よって横に引っ張るとちぎれないが、縦にすると簡単に裂ける、とインストラクター談。〉

〈カタバミ(カタバミ科):カタバミを漢字で書くと「片喰」,「酢漿草」.「片喰」と名付けたのは、暗くなると葉が一片欠けているように見えたから。〉

〈「酢漿草」と名付けたのは、食べたらあまりに酸っぱかったから。ちなみに、カタバミの葉で十円玉を磨くと葉のシュウ酸が古い十円玉がピカピカに。〉

〈イモカタバミ(カタバミ科):ムラサキカタバミ・ベニカタバミと色を冠したカタバミがある中、根の上部にイモ状塊茎をつけているので、イモカタバミ。〉

〈ブタナ:セイヨウタンポポと間違えられることも多いブタナ(別名タンポポモドキ)。見分け方として、タンポポ属は一つの花茎に1つの頭花に対して、ブタナは花茎が枝分かれし、複数の頭花をつける。外来種。輸入した飼料に混入されていた模様。フランス語の「salade de porc」の和訳が「ブタナ」の名前の由来。〉

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