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仙石原のトラスト緑地で自然観察会

10 箱根

「仙石原のトラスト緑地で自然観察会」の詳細

日時2021年10月02日(土)
9:00~12:30
場所

集 合 箱根湿生花園入口 9:00

行 程 箱根湿生花園→トラスト緑地

自然観察会

※当日はマスクの着用と検温の報告をお願いします。なお、新型コロナウィルス感染症拡大防止対策により、急な中止・行程変更がありますことをご承知おきください。

▼集 合箱根湿生花園入口 9:00
▼解 散箱根湿生花園 12:30
▼行 程箱根湿生花園→トラスト緑地
▼講 師県立生命の星・地球博物館名誉館員 勝山輝夫氏
環境省箱根パークボランティア 石原和美氏
▼定 員15人(抽選)
▼参加費会員 無料
一般2,000円
学生1,000円
※別途入園料が必要です。
※現地までの交通費は各自負担です。
▼雨天時原則として小雨天実施です。コース等の変更をする場合があります。当財団ツイッターでも、開催状況をお知らせしています。
財団公式ツイッター
▼持ち物等歩きやすい靴、帽子、水筒、筆記用具、雨具
▼申込方法【申込受付】受付終了
①参加希望日と行事名
②代表者氏名・住所・電話番号
③会員の方は会員番号
④メール申し込みのかたはメールアドレス
⑤同伴者氏名・住所・電話番号・会員の方は会員番号
①~⑤ご記入のうえ、メール/FAX/はがき/イベントフォームにてお申し込みください。
〒220-0073
横浜市西区岡野2-12-20
(公財)かながわトラストみどり財団
みどり企画課
※FAX:045-412-2300
※メール:midori@ktm.or.jp
▼問合せ先(公財)かながわトラストみどり財団
※電話:045-412-2525
▼概 要箱根湿生花園に隣接している仙石原湿原の一部をトラスト緑地として県が買入れました。これを記念して、普段は入ることの出来ない緑地内部を特別に観察することができます。

「自然観察会 仙石原のトラスト緑地で自然観察会」活動報告書

台風一過のさわやかな秋晴れの中、自然観察会を行うことができました。今回は県立生命の星・地球博物館名誉館員の勝山輝男先生、環境省箱根パークボランティアの石原和美先生、そして箱根湿生花園管理指導員の髙橋勉先生が講師に加わり、豪華な講師陣で参加者をお迎えしました。
箱根湿生花園内のレクチャールームで長靴に履き替え、園内を進みます。最初に髙橋先生より、3年後に開園50周年を迎える箱根湿生花園の設立までの経緯や、園についてのお話がありました。次に勝山先生から今回の自然観察会に適した資料として以前発行された「仙石原湿原だより」と「仙石原湿原の保全」について解説がありました。
仙石原湿原は、神奈川県唯一の湿原で、太古にできた大きな湖(仙石原湖)が浅くなり、5千年前に「湿原」となったそうです。湿原は仙石原の人々にとって、家畜の放牧場であり、草原に生えるヨシやススキなどが家畜の飼料、蓑笠や屋根の材料等に使用され、生活の糧として利用されていました。昭和8年、仙石原村の小林助役は、湿原に咲くノハナショウブの美観保護を思い立ち、生態学者として高名な東京帝国大学の三好學氏に相談したところ、昭和9年にノハナショウブが咲く湿原の一部が国の天然記念物に指定されました。三好氏は「将来土地の開発に伴い、自然の状態のいよいよ変化するに至らば、湿原植物群落もまた、存在を危うくするに至るべし。ゆえに今日において該群落中、適当なる地域を指定して植物分布学考証のために保存する必要ありと思考す」と記しています。その予言通り、その後、ほとんどの湿原は開発され、現在は指定地とその周辺だけになりましたが、先人のお陰で、今も仙石原湿原でしか生息していない希少な動植物を目にすることができます。
近年の湿原はシカやイノシシの侵入により、踏圧被害や食害にあっています。また、放置された湿原は森林化が進み、新しくトラスト緑地になった土地も森林化が進んでいました。枯草が堆積し、乾燥化が進むと樹木が増え、さらに乾燥が進み、森林化が進みます。かつて厄介者扱いをされた湿原は、ラムサール条約における湿地定義の広がりを受け、「生物多様性の確保」に対する重要性の意識向上が求められています。
さて、箱根の風物詩として「春の野焼き」がありますが、昭和45年から数年間、野焼きを中止したことがあります。その結果、ヨシが丈高く生い茂り、樹木が増え、日向を好む多くの湿原植物が見られなくなったそうです。明らかに湿原らしさを失った様子に、箱根湿生花園の南隣の水田跡地に実験区を設け、6年間の実験調査の結果、種類多様な昔の湿原に復元するには「野焼き」が効果的で、初夏の「夏刈」が回復を早めるという結果がでたそうです。「野焼き」だけですと、ヨシやススキといった植物が繁茂し、背丈の低い湿原植物が育たないため、併せて「夏刈」を行うのが効果的とか。しかし、夏の盛りのヨシやススキを刈るのも大変な苦労だそうです。
解説をいただいた後、石原先生が園内で見つけた「ヘビトンボ」を見せてくれました。ヘビトンボはきれいな水で生息するので、環境省の水質判定の指標生物になっています。大あごで水生昆虫を捕食しており、人も嚙まれたらかなり痛いそうです。
箱根湿生花園から緑地へ入ります。普段は施錠され、電気柵も設けられていますが、今回は特別に入らせていただきました。入るとすぐに水路で長靴、特に靴底をしっかり洗います。緑地に他の種を持ち込まない配慮は必須です。
県道75号線から見る国指定天然記念物を緑地から見るとどのような風景なのでしょうか。足元に気をつけながら天然記念物まで進みます。緑地内で見られた植物は次のとおり。ミゾソバ、ユウガギク、ズミ、イボタノキ、クロウメモドキ、イヌザンショウ、リンドウ、タイアザミ、ヒメシロネ、キハダ(樹皮を削ると内皮が黄色く、薬になるが、良薬口に苦しと言われるほど苦い)、ガマズミ(箱根のガマズミは葉が小さい)、カサスゲ、アケボノソウ、タムラソウ、ワレモコウ、モウセンゴケ(ヨシに勢いがないところに生える)、オミナエシ、ワラビの葉、ヤマラッキョ、ミズオトギリ等。
天然記念物指定地に着くと、一面に湿原が広がり、少し小さめのヨシが生えていました。来た道を振り返ると防火帯があるところまでは湿原ですが、防火帯外は森林化が進んでいるのがわかります。先生方は希少生物を保護するためにはススキやヨシの力を弱めること、シカやイノシシが入らない柵を設けることを挙げられました。参加者の方から、ボランティアでヨシを刈る提案や、こちらに木道を設け、一般開放はできないか?等の質問がありましたが、「しくみがあって初めて事業化されます。条件が整えば可能ですが、整えるためにはどうすればよいか、課題は多いですが、今回トラスト緑地が増えたことは、本当に喜ばしいことです。ひとえにトラスト会員の皆さんのお陰です。」とおっしゃってくれました。
天然記念物指定地付近で見られる動植物としてトキソウ、ノハナショウブ、ミズチドリ、ミズトンボ等が紹介されました。
復路をたどりながら今回新しくトラスト緑地になった所へ行きました。まず、道らしい道はありません。ハンノキをよけながら進みます。こちらで見られる植物はタカクマヒキオコシ、カサスゲ、ミズオトギリ等。少し日陰になり、日差しが入らないところにはキセルアザミが良く咲くそうです。昨日の雨のせいかもしれませんが、足元はかなりぬかるんでおり、完全に森林化しているとは思えませんでしたが、このまま手を入れなければ、森林化が着々と進むことは実感できました。
水路で再び長靴を洗い、箱根湿生花園の復元実験区へ向かいます。こちらでは7月から8月の初旬までカセンソウで黄色く染まっていたそうです。ユウガギク、サンショウバラ、イヌノヒゲ、クサレダマ等、園内では季節によって様々な植物を楽しむことができます。中でもムラサキミミカキグサは神奈川県の絶滅危惧種。花は3㎜程度ですが、食虫植物と聞いてびっくり。プランクトンを食べる植物だそうです。
参加者の方も貴重な植物を目にすることができ、湿原が守られていること、また、緑地の保全を行う意義を改めて感じられたというご意見をいただきました。

最後になりましたが、箱根湿生花園さまのご厚情により、円滑に観察会が行われましたことを心よりお礼申し上げます。

箱根湿生花園の誕生から仙石原についてご説明いただき、緑地へ向かいます。

 

勝山先生はイネ科のスペシャリスト。天然記念物を背に、防火帯までの湿原を解説。ヨシやススキが生い茂っています。

高橋先生は植物のエキスパート。

石原先生は箱根の鳥類や昆虫類に精通されています。

ヘビトンボ(ヘビトンボ科)

ヘビトンボと呼ばれていますが、トンボの仲間ではありません。幼虫の頃は水中で育ち、幼虫でも水中昆虫を捕食します。噛まれないように注意してください。

緑地内はヨシやススキに勢いがあります。ヨシとオギ、ススキの違いは生息場所が湿地に近いほうからヨシ、オギ、ススキ。種の周りの小穂(毛)が短いのがススキ、長いのがオギ。穂先に尖った針状のノギ(芒)があれば、ススキ、なければオギ。ヨシには毛もなく、ノギもありません。ススキは株立ちで、オギやヨシは根茎が地中を長く横に這っています。

アケボノソウ(リンドウ科トリカブト属)

モウセンゴケ(モウセンゴケ科モウセンゴケ属)

ヤマラッキョウ(ヒガンバナ科ネギ属)

天然記念物を緑地から見た風景。夏刈を行った分、ヨシやススキが少ない。

新しく買い入れたトラスト緑地を歩きます。

ムラサキミミカキグサ(タヌキモ科タヌキモ属)

小さい植物ですが、食虫植物。花の大きさは3㎜程度。プランクトンを食します。神奈川県では絶滅危惧種。

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