2022 かながわ緑の大使からのグリーンメッセージ
2022年4月から活動を始めた8名の大使たち。今回で最後になるグリーンメッセージですが、大使たちから、みなさんにお勧めしたい「みどり」や「自然」に関する書籍をご紹介します。
それぞれの大使の性格が表されたなかなか面白いチョイスです。ご興味があれば、是非読んでください。
請川(うけがわ)まりあさん (自修館中等教育学校5年⦅高校2年⦆)
私がお勧めする本は、古川大輔・山崎 亮 編著、「森ではたらく! 27人の27の仕事」(学芸出版社)です。
この本を読むと普段私たちが聞きなれない「林業」という世界を、少し知ることができます。
この本には、いろんな立場から森に関わる仕事をしている27人の人が、森と共存するためにどうすればいいか、実際なにをしているかなど、その活動について、思いや仕事ぶりを熱く紹介しています。
森林を活用した仕事の様子や、五感で感じる森林の中の雰囲気などが繊細に面白く書かれており、知らなかった森林の魅力を感じることができるでしょう。
森という一つのキーワードだけでも、森を写す人、森を運ぶ人、森を染める人、森で狩る人、森を伐る人、森に棲む人、森で採る人などなど、多くの職業や繋がりがあると知ることができて驚かされます。読んでいくと、森林と共に生きることを目標に、一人一人が試行錯誤しながらも協力し合っているからこそ、森林は大きく育って行けるのだと思いました。ぜひ書店で探してみてほしい一冊です。
私は、今年度「みどりの大使」として、何度か森林ボランティアに参加させていただきました。そこで感じたのは「少しづつの力が集まって、未来の森林を育てる」という大きな結果に繋がる活動だということでした。ボランティア活動ではたくさんの学びがあり、森についてこれまで以上に面白いと思う思えるようになりました。
これからもこうしたボランティア活動に積極的に参加していきたいと思います。
長本 吏央(ながもと りお)さん (広尾学園高等学校2年)
かながわ緑の大使の長本吏央です。
私がお勧めする本は、ベストセラー「生き物の死にざま」の著者である農学博士の稲垣栄洋さんの本「大事なことは植物が教えてくれる」(マガジンハウス)です。
本書には3つの魅力があります。
1つ目は植物が出てくる著名人の言葉と出会えることです。歌手やタレント、経営者、文豪まで幅広いジャンルの方々の歌詞や言葉が引用されています。どの言葉も共感でき、学びのある言葉です。
2つ目は植物の知られざるしたたかで戦略的な生態を知ることができることです。植物がどのようにそこで生き抜いてきたのか、どうしてその形状をしているのか、身近な雑草や野草を中心に生態が紹介されています。その場所を独占しようとする植物の強さをわかりやすく教えてくれています。
3つ目は植物から大切な生きるヒントや勇気をもらえることです。稲垣栄洋さんは、さまざまな植物のたくましい生きざまから、そっと背中を押してくれるような言葉で勇気づけてくれたり、生き方を教えてくれたりします。
私は2022年4月の自然観察会「花水川で食べられる植物の観察会」に参加した際、インストラクターからセイヨウカラシナとイヌガラシという2つの植物の区別を聞きました。セイヨウカラシナは、粒マスタードになる食べられる植物であるのに対して、イヌガラシは食べられない植物で、役に立たないということから「イヌ」という言葉がつく事を教えて頂きました。その時に、何故「イヌ」とつけるのか、不思議だったのですが、この本でもイヌタデという植物で、その事に触れていて、とても面白い内容だったので紹介します。
植物の名前で「犬」とつくのは、有用な植物に姿は似ているのに、実際には役に立たないと言う意味があります。無駄な死に方を「犬死に」というように、「犬」がつくと悪口になります。イヌタデという植物は、ピンクの花をつけ、別名「赤まんま」と言い、ままごとのお赤飯の代わりに使われました。子どもからは人気の花ですが、大人からは「イヌ」呼ばわりされています。タデという植物は刺身のつまに用いられる薬味でホンタデと呼ばれますが、イヌタデは辛味がなく、役に立たないタデと言われます。
そんなイヌタデの花言葉は「あなたの役に立ちたい」です。何ともけなげな花なのです。(一部抜粋)
他にも美しい表紙やたくさんの挿絵があり、人生のバイブルとして手元に置いておきたい一冊です。是非心に染み入る言葉を味わってみてください。
井上 万侑加(いのうえ まゆか)さん (洗足学園高等学校1年生)
かながわ緑の大使の井上万侑加です。
今回紹介する本は、三浦しをんさんの「神去(かむさり)なあなあ日常」(徳間書店)という作品です。この本は、2010年にラジオドラマ化、2014年に「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」として映画化されています。
この本は、平野勇気という就職先が決まらないまま高校を卒業した主人公が、半ば強制的に就職先を決められ、神去村という村に何もわからないまま行くところから物語が展開していきます。この神去村という村で、山の手入れなどの林業の仕事に携わっていくことになった主人公が何度もめげながらも成長し村にもなじんでいくという話です。主人公が林業に携わる話がこの本の主な話として存在するため、林業の仕事の実態などについて知ることが出来ます。専門道具や道具がよく作中に出てきますが、詳しい説明があるため、非常にわかりやすいです。
また、本のタイトルにも入っている「なあなあ」という言葉はのんびりゆっくり行こうというような広いニュアンスを持つ言葉で、神去村の村の雰囲気を表現しています。
この本は、主人公目線で物語が進むため、読んでいると、自分も実際に神去村に来たような気持ちになり、神去村の「なあなあ」な雰囲気を感じることができることも一つの魅力です。
林業に興味がある方は是非読んでみてください。
松本 梨咲(まつもと りさ)さん(洗足学園高等学校1年)
こんにちは。松本梨咲です。
今回は、お勧めの本の紹介ということで、私は稲垣栄洋著、「知識ゼロからの植物の不思議」(幻冬舎)という本を紹介します。
この本には、名前の通り、植物に関する不思議な事実が多く記されています。
一番心に残った植物の不思議は、P.113の、「恋占いにマーガレットを使うのはなぜ?」です。
早速答えですが、マーガレットの花びらは21枚であり、「好き」から始めれば必ず「好き」で終わるからです。
私は花占いにマーガレットを使うのは、可愛らしく、様々な場所で見かけるからかと思っていましたが、それとは全く違い、実は必ず「好き」で終わるというからくりがあるからだと知り、今も昔も自分が恋する相手にも自分を好きになってもらいたいと思っていたのは変わらないことが趣深いなと思いました。
この本には興味深い植物に関する知識だけではなく、読者を和ませるようなユーモアもあります。例えば、上記のマーガレットの箇所には、マーガレットの花弁の数は栄養状態によっても変わるため、恋占いの時は注意するようにとも書かれており、きっと昔、花弁の数が偶数になり、「嫌い」で終わってがっくりした人がいるかと考えると思わず笑ってしまいました。
このように、この本は、興味深い知識を、ユーモアを交えて教えてくれます。ぜひ読んでみませんか。
宮田 満帆(みやた まほ)さん (神奈川県立神奈川総合高等学校1年生)
『アラマタ生物事典』 (監修 荒俣宏・講談社)
生物事典、なんて嫌な響きだなあ、と思ったそこのアナタ。1ページでいいので、この本を読んでみてください。
この本は、深海に潜む動物から、食卓に並ぶ野菜まで、様々な生物たちが記されています。ヒマワリ 、アホウドリ、バクテロイデス・プロビウスなどなどです。
この生物たちの共通点、それは、「特殊能力を持つこと」です。そして、その「特殊能力」は医療や工業に応用されることが期待されています。
ゾウは「天災センサー」、ベニクラゲは「不老不死」、です。
私は、おしゃれな表紙だなあ、と思ってこの本を手にとったのですが、中身の文章もテンポがよく、写真やイラストもあり読みやすいです。自由研究の題材を探すのにももってこいかもしれません。
ぜひ読んでください。
伊茂治 龍慶(いもじ りゅうけい)さん (渋谷教育学園 渋谷中学校3年)
私の好きな本は「生き物としての力を取り戻す50の自然体験」です。(監修 カシオ計算機株式会社、発行 オライリー・ジャパン)
この本では、身近な野遊びから森で生きる方法まで、幅広い自然に関する事を知ることが出来るとても面白い本です。この本は自然に興味はあるけどどんな事をしたらいいのか分からない、自然の色んな遊びをしてきたけど他にはどんな遊びがあるのか興味があるという人にお勧めの一冊です。
この本には感じる、見つける、意識を変える、食べる、身につける、作るの六種類の色々な楽しみ方に別れているので貴方にあった自然の楽しみ方を是非この本で見つけてください。
柏木 悠杏(かしわぎ ゆあん)さん (自修館中等教育学校3年)
私が紹介するのは、「絶景温泉100 」です。(著 高橋 一喜・幻冬舎新書)この本は、海・山・川湖・露天・内湯・温泉街の絶景をまとめており、日本の温泉だけでも3,500ヶ所を超えている。全部回りきれないため厳選しています。自然を見るものもあれば温泉街を楽しむものもあって冬にちょうどいいと思い紹介しました。温泉巡りを試してみてはどうでしょうか日頃の疲れた体には、落ちついて、いい景色が眺められる場所で体を休ませて見てはいいんじゃないでしょうか。
小林 優美(こばやし ゆうみ)さん (横浜市立南高等学校1年)
私が紹介するのは、「トトロの森をつくる」という本です。(著 公益財団法人トトロのふるさと基金・合同出版)
隣のトトロを知っていますか?映画やアニメで見たことがある人もいると思います。実は実際にとなりのトトロの映画のモデルとなった森があるのです。「トトロの森をつくる」という本からは豊かなトトロの森が育まれたあゆみが分かります。
トトロの森は狭山丘陵とその周辺に点在しています。どうして都会のそばに豊かなみどりが残っているのでしょう?実はこの辺りは以前、開発が進められ、住宅地やゴルフ場となっていました。ですが狭山丘陵の豊かなみどりを守りたいという人々の力で守られたのです。1991年トトロの森1号地が出来てから54号地、10ヘクタールにも及ぶ緑地があります。そんなトトロの森を守った取り組みはナショナル・トラスト。かながわトラストみどり財団の行う活動の一つです。緑の大使として活動する中でこの本に出会い、一人一人のみどりを大切に思う気持ちでみどりが守られるのだと改めて実感しました。そして一層大使の活動を大切に思うようになりました。
みどりを守るのも人間、開発するのも人間。多くの人がみどりを大切に思うことで守られてきたトトロの森。是非この本を読んでください。そして皆さんもみどりを思う気持ちを大切にしてください。
大使たちが紹介させていただいた内容はいかがでしたか?
私は読んだことがある本もありましたし、読んでみたくなる本もありました。
間もなく3月を迎え、大使たちの委嘱期間が終了します。
最後まで応援いただけますよう、よろしくお願いします。