「2022かながわ緑の大使」がリレーでメッセージを発信します。
「2022かながわ緑の大使」は県内に在住、通学している中学・高等学校の8名の生徒さんに委嘱されています。「いつ収束するかわからないコロナ禍の中、県内の緑化推進等を行うために自分たちにできることはないだろうか。」と大使たちが相談し、財団ホームページやSNS等を利用し、自分たちの思いをそれぞれ伝える取り組みをリレー形式で始めることにしました。
自分と同じようにみどりを守り、育てたいと思っている仲間(大使)が集まると、初対面とは思えないくらい話が弾み、様々な意見が飛び交っています。
どうぞ暖かく見守ってください。
初回は広尾学園高等学校2年生の長本吏央さんです。
長本 吏央(ながもと りお)さん (広尾学園高等学校)
「2022かながわ緑の大使」に委嘱された長本吏央です。
私は小さい頃からヴァイオリンを弾いています。ヴァイオリンは木材を使い、主に、表板はマツ科のスプルース、裏板・側板・ネックはカエデ科のメイプルを使っています。楽器の命である音は、材質が非常に重要で、十分に自然乾燥させた高級木材は上級クラスの楽器に使われます。また、季節によって、湿気や乾燥の影響を受けて音色が変わります。梅雨から夏場の湿気がある時期は、空気中の水分を吸ってヴァイオリンも膨らみ、音が鳴りにくくなります。逆に秋になると、適度な乾燥により音が鳴りやすくなります。冬の乾燥する時期になると、弦が緩んでしまったり、木の水分が失われて割れやすくなる事もあります。
このように木はヴァイオリンに加工されても、季節によって変化して、私達と同じように呼吸して生きているのです。私はいつもヴァイオリンの木から伝わる美しい音色や温かい温もりで癒やされ、木の大切さを身近に感じています。皆さんも身近にある木で癒やされることを知ってください。木を大切に守り、かながわの緑をもっと豊かにしたいという同じ思いを持つ仲間が沢山できたら嬉しく思います。
長本さんと初めてお会いした日に、居合わせた数名がNHKで放送された「チコちゃんに叱られる『ストラディヴァリウスの値段はなぜ高い?』」を見ていて、ヴァイオリン談義に花が咲きました。ストラディヴァリウスが高価な理由は「300年経った今でも再現できないから」だそうです。
再現できない理由の1つは技術力。極限まで薄い材を使うことで、弾いた時に振動が良い音色を生み出しますが、材が薄い分、変形しやすいリスクがあります。そして、当時の製法を記した文献はないそうです。
もう1つの理由は、材質。ストラディヴァリウスが作られた17~18世紀頃は、地球が小氷河期と呼ばれていた寒い時代(その頃の日本は江戸時代で、冷夏が招いた三大飢饉⦅享保・天保・天明の大飢饉⦆がありました)。小氷河期の樹木は季節による成長速度の差が少なく、木材の密度の差も少ないそうです。年輪を縦割りにした時に出る平行線の縞模様「木目」を見ると一目瞭然ですが、ストラディヴァリウスの木目は幅が狭く、間隔がほぼ均一です。このような品質の材は、現代では手に入らない、とのこと。
小氷河期とは異なり、地球温暖化が進んでいる現代ですが、植樹などを行い、みどりを増やすことで、二酸化炭素の排出を抑えて温暖化にストップをかけることができます。
※詳しくはこちらをご参照ください。 林野庁ホームページ 地球温暖化防止に向けて
大使たちは「県民参加の森林づくり」に参加することを楽しみにしています。