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かなユリ・チャレンジ

かながわトラスト緑地・ヤマユリ自生地再生チャレンジ事業

 ヤマユリは神奈川県の県花として県民に愛され、その容姿の美しさが讃えられるほど、緑地を彩るシンボル的な存在です。ヤマユリが咲き誇るトラスト緑地を目指し、種の育苗や自生地環境の改善に取り組んでいます。

 
 かなユリ・チャレンジ始動(2017冬)
 
 財団に会員の方から一通のお手紙をいただきました。そこには、2016年7月に起きた「津久井やまゆり園」での大変痛ましい事件のこと、ご自身のお子様も障害者で、施設に預けることへの葛藤と不安、そして事件のトピックスとして “ヤマユリ”という文字がニュース記事に出るたびに悲しみ、その昔には、どこにでもヤマユリが咲き人々を楽しませていたことを思い出し、ヤマユリが咲く里山の情景を復活してもらえないかという内容でした。
 ヤマユリは神奈川県の県花として県民に愛され、その容姿の美しさが讃えられる程、里山を彩るシンボル的な存在です。ですが財団で保全する県内のトラスト緑地で調査したところ、数か所で見られるだけの結果でした。
 そこで財団がすぐに取り組める事業として、トラスト緑地でのヤマユリの自生地を再生する取り組みを開始しました。
 活動の内容としては、林床の環境を整える草刈等を実施するほか、緑地でヤマユリの球根や種を採取し、平塚市の社会福祉法人進和学園へ栽培、育成を依頼し、増えた球根を緑地に戻す事業を展開し、自生地を再生します。
 昔、里山で見られたヤマユリが咲き誇る風景を復活させ、多くの人々の心を癒し、地域社会の憩いの場所として、また、誰もが共に暮らせる社会の創造につながるような場所として再生していければと考えております。
 ヤマユリは宿根草といって数年育成して開花が見られる植物のため、自生地再生は大変時間がかかる事業ですので、持続的に取り組みながら、随時ご報告していきます。
 お手紙

かながわトラストみどり財団様           2016年8月1日

梅雨の明けたような、まだ明けないような 昨今でございます。

 私の娘は重度のダウン症で、今年3月より大磯町の施設に入所しました。娘は45才で歩くのが早く元気で、主人が亡き今、2人で生活してきましたが、80才の私がついて行けなくなり入所をお願いしました。
娘は言語理解が困難でどう説明したらよいかわからないまま、施設に入所させました。5月の連休で一時帰宅後、施設の前で騒動してしまい、前から知っている同室のお友達の名前「〇〇ちゃんが待っているよ」と言ったら、クルリと後へ向き、私の手を離し、施設へもどってくれました。
 そんな有様に私も時々、涙を流していましたが、2016年7月26日の事件以来、ラジオ、テレビ、新聞等見聞きする度、涙が止まりません。
 42年ほど前、神奈川県へ越してきて、小さい娘を連れて児童相談書や福祉事務所などで相談を受けるところで「津久井やまゆり園」や、「ヤマユリ」が県の花であることを知りました。
 越してきた我が家は、神奈川県園芸試験場の隣で小高い森の崖にヤマユリが咲き、毎年楽しみにしていたのに、今は見つかりません。
 近くの神社の斜面地にも3~4本ありましたが、今年は半分になっていました。
 私の希望なのですが、このたびの悲劇を悼み、ヤマユリの花を各町で絶滅させないように、保護する場所を作っていただけないでしょうか?
 弱い立場の人達も、仲間として受け入れる寛容な心を育てる場所となればと願います。この人達もそれぞれの人の能力で一生懸命いきているのですから。
 皆様のご活躍、お祈り申し上げます。
(※お手紙の内容を割愛したものを掲載しました。)
     

 緑地のシンボルのヤマユリ



ヤマユリ球根を進和学園の皆さまへ



園敷地内にて植え付け


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