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かなユリ・チャレンジ

かながわトラスト緑地・ヤマユリ自生地再生チャレンジ事業

 ヤマユリは神奈川県の県花として県民に愛され、その容姿の美しさが讃えられるほど、緑地を彩るシンボル的な存在です。ヤマユリが咲き誇るトラスト緑地を目指し、種の育苗や自生地環境の改善に取り組んでいます。

 
 球根や種の採取と育苗   
 
■トラスト緑地での調査
 神奈川県内にあるトラスト緑地数か所で職員の目視による調査や緑地で活動するボランティアへの聞き込みを実施したところ、群落はなく、場所によってヤマユリが存在しない緑地もあり、あったとしても1~2株が所々に咲いているという状況でした。
※そのため数少ない種であるため、植生地や再生場所はご紹介できませんのでご了承ください。
 球根や種の採取と育苗
 球根や種の採取と育苗
 トラスト緑地の数か所から少量のヤマユリの根を採取し、球根や地下茎に着く木子を育成するほか、タネを採取しプランター栽培を行います。ヤマユリは宿根草で3~5年育成してようやく開花する植物のため、ゆっくり長い目での活動するのが重要です。
ヤマユリのつぼみ
ヤマユリの蕾

◆タネから育てる
球根に比べて、タネから育てると開花までに5~6年かかりますが、病気になりにくい球根を育てることができます。採取したタネは約1年間土中や保管庫に保存し、翌年秋に発根しているタネをプランター等に播種します。冬を越して春先にようやく発芽となります。
◆球根のりん片等から育てる
秋頃に掘り出した球根のりん片を剥がし、プランター播きや適地に直播きします。球根の上根につく木子(きこ(フリ)・球根の子ども)も育成させます。タネ同様に春先に発芽し、3~4年で開花しますが、やはり時間をかけての育成となります。
     
2017年財団で採取した球根と木子
自生地環境の再生

  ヤマユリは風通しが良く湿り気の少ない半日陰の樹林地を好むようです。調査では藪や樹木に覆われた森の深部にはほとんど見られず、林縁部や散策路などの開けた草地で多く確認できました。
 また、林床に日が入る場所ながら、笹や低木などが大きく伸長し繁茂しないよう定期的な草刈りが行われている場所が自生地として適しているようです。
 このほかイノシシなどの食害被害もあるため、住宅地に囲まれた樹林地を対象として、計画的な草刈り等の維持管理を行っていく予定です。
 
 
 県内のヤマユリ自生地
指標となる植物
 ヤマユリは緑地の林床植生の中でも、一際目立ち、多くの人々に好まれる植物です。また、ヤマユリの自生地は林床に光が入る草地であり、ヤマユリ以外にも多種多様な草木の種類が見られ、それぞれに生息する生物とそれを捕食する生物が共生するため、生物多様性の高い自然環境といえます。この「かなユリ・チャレンジ」を機会に都市近郊にあるトラスト緑地の新たな価値の創造につながるよう事業を計画していきます。  
 緑地のシンボルのヤマユリ

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