機関誌「ミドリ」について


2017ミドリ107号「光るミミズって見たことある?」その2

ミドリ107号
2017年冬号


ミドリ107号

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葛葉緑地の珍しい生き物
 葛葉緑地には、ほとんどの皆さんが見たことがないと思われる生き物も生息しています。 皆さんは光る生き物と聞いて何を思い浮かべますか? 直ぐに思い浮かぶのがホタルですね。 葛葉緑地からはホタル類が5種類(そのうちゲンジボタルとヘイケボタルは移入)確認されていますが、ここでご紹介するのはホタルではありません。
 

ホタルミミズ

ホタルミミズ
 まずは、その名も「ホタルミミズ」という発光するミミズです。 日本には光るミミズが2種類います。 1種はこの「ホタルミミズ」。 もう1種は砂浜の汀線に打ち上げられたゴミの下などに棲むイソミミズです。 こちらは海辺のミミズなので、残念ながら葛葉緑地にはいません。
 ホタルミミズの大きさは、伸びて長さ3cm太さ1mmくらいで、淡いピンク色をしている、ちょっと透き通った感じの小さなミミズです。
 ホタルミミズは1934年(昭和9年)に神奈川県大磯町で発見されて以来、日本各地で発見されてはいましたが、最初の発見から70年ほどの間に全国で20件程度の発見例しかなく、発見すればすぐに新聞記事になるほどのとても珍しいミミズとされていました。 しかし7~8年前から発見例が相次ぎ、2011年(平成23年)に名古屋大学の大場裕一博士らが名古屋大学のキャンパス内でたくさんのホタルミミズを発見したことで、実はどこにでもいる普通種であることが分かってきました。
 私も12年ほど前の3月、蛍の幼虫の上陸を観察に行った際、平塚の公園で一度見つけたことがあり、またいつか見つけてみたいと思っていました。
 2015年(平成27年)11月30日、くずはの家の駐車場の隅を何気なく掘ってみたところ、小さなミミズが出てきました。 日中は周囲が明るく、ホタルミミズかどうかの確認はできないので、くずはの家の小屋裏に上がり戸を閉めて真っ暗な中、ミミズに刺激を与えてみました。 すると尾端から発光粘液を出し、淡い緑色の発光がはっきりと判りました。 まさに灯台下暗しで、身近なところに生息していました。 くずはの広場の地表には駐車場周辺だけではなく、観察路にも、このミミズのものと思われる糞塊が無数にあり、おそらくは数万匹は生息しているのではないかと推測されます。
 ホタルミミズは発見例が少なかったこともあり、その生態はよく分かっていません。 ただ、ほとんどの発見が冬であり、特に11月から3月頃までによく見つかっています。 おそらく夏は卵の状態で過ごしていて、見つからないのではないでしょうか。
 とにかく、ホタルミミズを見るのならこれからがベストシーズン。 特に今頃は日暮れが早いので、野外で発光を見るチャンスでもあります。
 

紅葉の葛葉緑地

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2017ミドリ107号「光るミミズって見たことある?」その2

目次
その1 葛葉緑地の環境
②その2 ホタルミミズ
その3  ヒラタキノコバエの一種

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表紙:ヤマユリ

自然への一歩 冬から春へ 池のにぎわい
阿木 二郎   手塚 真理
葛葉緑地で地質学にふれる
生命の星・地球博物館 学芸員 笠間 友博
光るミミズって見たことある?
~葛葉緑地はいろいろな生き物に出会えるよ~
自然観察施設・くずはの家 所長 高橋 孝洋
葛葉緑地 アクセスMAP
緑の募金
平成29年度
緑化運動・育樹運動コンクール受賞作品
緑の募金 緑の募金による活動報告
一里塚・
四方山話3⃣
「ムササビ」
神奈川県森林インストラクター 滝澤 洋子
事務局だより ●小網代の森
 アカテガニ放仔観察会2017
●感謝状贈呈、主催イベント ほか
ヤマユリ自生地
再生チャレンジ始動
久田緑地での
取組事業
製材体験イベント